J A N U A R Y, 2002

| GO BACK TO HOME PAGE |


1月23日(水)豚肉と白菜の鍋
 寒い時はやっぱり鍋!というわけで、最近こっているのが、豚肉と白菜、春雨の鍋。
 むかしむか~しのダ・カーポで見て作ったのが最初。材料は白菜、豚バラ肉(ペラペラの薄切りより3~5ミリのちょっと厚めの薄切りがベスト)、干し椎茸と春雨。風味づけにしょうがと青ねぎをちょっぴり。
 (下準備)
干し椎茸--水につけて戻し、細切りにする。
豚バラ肉--食べやすく切ってしょうゆと片栗粉につけておく。
白菜--繊維にそって細長く切る。
お湯をわかしてインスタントの鶏ガラスープを大量に作っておく。
 <作り方>
1.胡麻油とサラダ油半々でしょうがの薄切りとネギを炒め、香りが出たら豚バラ肉、白菜、干し椎茸を加えて、塩こしょう。油が全体に絡まるまでいためる。
2.鶏ガラスープに干し椎茸の戻し汁を加えたものに1.の炒めた材料を全部加え、春雨を加えてひたすら煮る。
私はこれをポン酢で食べるのが好きです。

1月21日(月)Storytelling
 トッド・ソロンツ監督の新作映画「ストーリーテリング」のプレミアに行く。
 先日「ハッピネス」を見ている上に、資料では本作も論議を呼びそうな部分がいくつかある、と書いてあるので、今回は初めから心して見る。そのせいか、それほど衝撃は覚えない。(あー、よかった。)しかし、映画の途中でスクリーンの真ん中に巨大なピンクの長方形が現れるのは前代未聞だな。レイプまがいのセックスシーンがあってそれをそのピンクの長方形が隠すのだ。うーん。
 映画の後に監督の質疑応答があった。監督はやせて度の強い眼鏡をかけた、学生時代絶対もてなかっただろうなぁ、というタイプ。高くか細い声でぼそぼそとしゃべっている。彼の作る映画からは想像できなくはないが、映画監督という職業自体にはリーダーシップと何らかのカリスマが必要だと思っていた私にはちょっと意外だった。

1月20日(日)L'Avventura
 アメリカ映像美術館でミケランジェロ・アントニオーニ監督のL'Avventura(邦題:「情事」1960年)を観る。
 公開当時この映画は「何も起こらない映画」としてその斬新さが話題を読んだと言う。ブルジョワの男女がグループでボート遊びに行き、立ち寄った小さな島で一人が行方不明になる。消えた女性を探すうちに、彼女の恋人と女友達が恋仲になり、二人は女性の消息を追って旅を続ける…というようなストーリー。
 モニカ・ビッティ演じる主人公は、初めは消えた友人を心配し、恋人を強く責めるのに、いつのまにかちゃっかり彼の恋人になっている。全然説明的でない上に、思わせぶりなセリフや表情も後でフォローがないので、「なんで?」と首をひねる事も度々。世間の評価はともかく私のお気に入りリストには入りそうにない。
 しかし、映画のいい所は、仮にストーリーが気にいらなくても、他に注目すべき所がある所だと思う。俳優の演技がすばらしいかも知れないし、シネマトグラフィーの美しさが飛び抜けているかも知れない。サウンドトラックは?衣装は?特殊効果は?総合芸術と呼ばれるだけあって、アカデミー賞のカテゴリーの数だけ素晴らしい所がある可能性があるのだ。だから、映画という芸術自体に対する愛を持って観れば、まったく見るべき所がない映画というものはほとんど存在しない(たまにあるけど)。
 この映画の場合私が目を奪われたのはもっぱら主演女優のモニカ・ビッティと彼女の着ているファッション。脇役のように登場し、主人公の友達と言われても「ああ、そう」と納得してしまうような地味な顔だちなのだが、友人が行方不明になったとたん、彼女の不安定な美しさが際立ってくる。ブロンドの無造作な髪型に、ちょっと目が離れていて口が開き気味な所に適度に隙が見い出されて色気につながっている。スタイル抜群で、仕種があくまでも気だるいのもいい。
 ファッションもあきらかにステキ!っというようなモードなものではないが、水着の上にはおるタオル地のカウチンネックのチュニック丈のセーターや、ストライプのシャツドレス、水玉のスーツにパールのネックレス。黒のレースのネグリジェ…などなど、タイムレスで上品なファッションがたくさん出てくる。ヴィンテージの洋服が大好きな私としては、着こなしの参考になる場面がたくさんあって、「メモ、メモ…」と映画を見ている間も忙しいのであった。

1月19日(土)ハッピネス
 来週トッド・ソロンツ監督の新作映画「ストーリーテリング」のプレミアに行くので、その前に見のがしていた彼の前作「ハッピネス」を見ておこうとビデオを借りてくる。
 日本の映画好きの友達が東京でロングランになっていた、と言っていたので期待していたのだが、かなり病的な内容だった。「90年代で最も論争を呼んだ映画!」と言うふれこみが、あながち大げさとは思えないぐらい、変態的な性癖を持ったキャラクターが次から次に出てくる。映像的にはあまりショッキングではないのだが、普通の事のように登場人物が口にする言葉を頭の中でイメージすると…う~~、あまり想像したくない。
 「ハッピネス」というタイトルから、見終わった後に思わず微笑みたくなるような、いわゆる「フィールグッドムービー」を想像していたら大間違い。たぶんそのギャップが生む効果もねらってるんだろう。見事にはまった私がバカでした。これから見る機会がある方はお気をつけ下さいませ。
1月18日(金)Olu Dara
 BBキングにオル・ダラのライブを見に行く。
 ライブを見たのは初めてだったが、CDに違わずよかった。去年気に入ってよく聴いていた彼のラストアルバム「ネイバーフッド」からの選曲が主だった。
 ジャンル分けできないような彼の音楽には泥くさい不思議な魅力がある。この「泥くさい」というのはどうも私が好きな音楽に共通するキーワードの一つのようだ。例えばヨーロッパ発のラウンジ系エレクロトロニカなどは、掃除が行き届いてつるつるしているホテルのロビーの床のようで、どうも私には落ち着かない。地面や草のように裸足で歩いた時に足の指でしっかり掴めるテキスチャ-がある方が何十倍も味があると思うのだ。
 オル・ダラとカサンドラ・ウィルソン、ドクター・ジョンはマネジメントが同じなのだが、この3人に共通する事と言えばみんなミシシッピー川の源流から来た音楽のルーツを強く感じさせる泥くささを持っている事だろう。オル・ダラの滑舌悪く、だらだらとしゃべるようなボーカルを聞いていると、歌詞の意味はよくわからなくてもなぜか体から力が抜けてくるから不思議だ。

1月13日(日)地球の声
 BB Kingにブラッド・メルドーとダイアン・リーブスを見に行く。
 1時間以上遅れてブラッド・メルドーのソロが始まる。2曲演奏したところで、「僕は10時に準備できてたんだけど、遅れて始まったので僕の持ち時間はここまでです。」と言ってステージから降りてしまう。かなり不満そうな口調だった。だろうなぁ。
 でもBB Kingのクラブの雰囲気にブラッドのソロはちょっとミスマッチのように感じたし、実際観客はダイアン・リーブス目当ての人が多そうだったので、長かったらよかったか、というとそうも思えない。私はブラッドの演奏は好きだけど、やっぱりお酒を飲んだり食事をしたりする人が大勢いてざわざわした中では、静かなソロ演奏は落ち着いて聞きにくいしね。これでブラッドはますますヴィレッジ・バンガードをひいきにするのだろうか。
 逆にダイアン・リーブスはブルーノートぐらいの大きさのクラブをいつもより狭く感じさせるぐらい器量の大きいアーティストだからBB King のサイズは合ってたようだ。今現役の正統派女性ジャズボーカルの中ではダイアン・リーブスが声量、声の質、音楽性、すべてにおいて一番だと思う。耳に心地よいSoothingな声、マイクに頼る必要がないほどボリュームがある声量、高音域から低音域まで幅広く自在に行き来する声域、サラ・ボーンを思わせるフレージングなど、彼女の歌の聴きどころはたくさんある。
 彼女を説明しようとする時、私は必ず「アーシー(大地のような)」という言葉を思い浮かべる。人種的なルーツをさておいても彼女の歌の根底にアフリカのルーツが感じられるせいか、彼女の得意技、歌でストーリーを語る事が母親が子供に歌い聞かせる子守唄のようで、大柄な彼女の外見が母的なものの代表=大地を思わせるからだろうか。今日もうっとりさせられました。
 
1月12日(土)電気復活
 エレクトリシャンに来てもらって、壊れた電気を修理してもらう。実はかなり前から焼け焦げたコンセントがあって、使うのをやめていたのだが、それが原因だったらしい。無事復活。
 本棚や家具を動かしたついでに模様替えも決行。心なしか部屋が広く感じる。

1月10日(木) 豚肉のコーラ煮
 以前から作ってみたかった豚肉のかたまりを使った料理がある。
 豚バラ肉のかたまりをたこ糸でしばり、ウォッカとマーマレード、しょうゆで煮たもので、切り抜いてあるレシピの中でも特に気になっていた。
 近所のスーパーに豚肉のかたまりはあるのだが、どれも子供の頭ぐらい大きい。「こんなの買ってもどうするんだ?」とちゅうちょしていたのだが、今日たまたま小さめのがあったので、これなら圧力鍋に入るかも、と思って買ってみた。
 結果は、入るけど蓋がしまらない、という間抜けなもので、しかもパウンドをキログラムに直したらレシピの5倍の量の肉、という事が判明。レシピでは200mlのウォッカと200mlのしょうゆを使う、と書いてあるので、これをそのまま5倍したら1リットルのウォッカと1リットルのしょうゆが必要というわけか。おいおい、いくら私でもそこまで太っ腹ではないし、何だか体にも悪そうだ。
 しかし冷蔵庫の中に巨大な豚肉の固まりがあるのは事実なので、何とかせねば。レシピ通りに作るのではなく、インプロバイズ、インプロバイズ…、というわけで、ウォッカとしょうゆ、マーマレードの量はレシピの2倍にし、あとはコーラをどぼどぼ入れる。コーラならこの前セールで2リットル89セントだった。体にはよくなさそうだが、財布は痛まない。フライパンでまわりを焼きつけて寸同鍋で煮る事約2時間。結果はチャーシューのような、豚の角煮のようななかなかおいしいものができた。見た目も豪華でおもてなしにも使えそう。東坡肉と同じで脂身の所がとろけるよう。次の日はこれと卵、レタスで焼飯を作ってみたが、これもなかなか。チャーシューと同じでいろいろ使えそうだ。
  後日談:おいしかったけど、翌日やたら喉がかわいたな。しかも食べても食べても巨大な肉のかたまりは減らず、これ以来しばらく豚肉を食べる気が失せました。


1月8日(火)切れる
 夜11時HBOの"Sex & the City”を見ているといきなりケーブルボックスの電源が切れた。「???」と思いつつ、もう一度つけると、5分後にテレビ、ビデオ、コンピューター、モニター全ての電源がいきなりブチッ!と落ちた。
 ブレーカーをチェックしても何ともないし、どうも一つのサーキットが死んでしまったようだ。幸い3つのコンセントがダメになっただけで他の所は大丈夫なので、とりあえず、延長コードで必要なものだけ生きているコンセントにつなぐ。しかし、コンピューターをつけている時はテレビやステレオはつけられないし、逆の場合も同じ。これだけの事だが結構不便だ。

1月6日(日) 傷あと
 私の胃のあたりの皮膚には蜥蜴が這っているような形の火傷の痕があり、それを暗く沈んだ色に色素沈着した皮膚が長方形に囲んでいる。まるで額縁か焼き印のように…。
 先日お湯をわかして注ぐ時に、沸騰し過ぎたお湯が逆流して体にかかってしまった。タンクトップを着ていた上からだったのに、何ケ所かは瞬間的に皮がむけてしまったので、かなりひどい火傷だったのだろう。ティーツリーオイルを塗って治りはしたが痕が残りそうだ。
 火傷の痕はしかたないとして、バンドエイドの痕はなんとか消えないだろうか、と願っている。火傷の直後は水に濡らすのは悪かろうと大きなバンドエイドをずっと貼っていて、一時期すごーくかゆかったのだが、「これはきっと傷痕が治りかけている、という事なんだろう。」と思い、我慢してはずさなかったら、どうもバンドエイドにかぶれた所がかゆかったようだ。気づいてはずしたが後の祭り。皮膚に粘着していた部分のあとがくっきり残ってしまった。みっともな~い。もうビキニが着れないよ~。もちろんビキニなんて着た事はないんだが、「着ない」と「着れない」は大きな違いだ。
 よく考えたら、体の中で膝から下と肘から先は大小いろんな傷がたくさんあるが、お腹というのは、普通手術でもしなければなかなか傷なんかつかない、体の中でも一番赤ちゃんの時の皮膚に近い部分だったのだ。そこを単なる自分の不注意で傷つけてしまい、実はかなり落ち込んでいる。


1月5日(土)イメージする威力
 去年通った鍼の先生から、肩の痛みがなくなるまでは、エクササイズはしないように、と言われたのをいい事にホントに何もしていなかったら、何だか徐々に肥大してきているようだ。あからさまにではないのだが、洋服がちょっときつかったりする。今年の誕生日を心身共に今までで最高の状態で迎える事が30過ぎた時からの目標だったのに、どうも達成できそうにないぞ、というわけで、先日から自宅で少しだがエクササイズしている。
 もともと「ターザン」とか女性誌の「夏までに楽しんで3キロ痩せる!」特集などを読むのは大好きで頭の中には「体脂肪を減らすにはウェイトリフティングよりも有酸素運動を!」とか「一日30分間心拍数を最高心拍数の60%から80%までにあげれば一番効率良く脂肪が燃える!」とか知識だけは詰まっている。昔クロワッサンで「痩せる本を100冊読んでも読むだけでは痩せません」という趣旨の特集があったが、まったくその通り。
 しかしモチベーションを高めるためには、この手の本を読むのも悪くない、というわけで、日本から買ってきた「ビューティフル・ボディ・マガジン」という雑誌を手に取る(日本ってホントにありとあらゆる分野についての雑誌があるのね…。あっ、でもそれはアメリカも同じだな。)。
 この中に載っていたあるランジェリーショップのオーナーがこんな事を言っていた。「10年くらい前は連日のようにエアロビクスに通って体を鍛えていましたが、40歳を過ぎてわかったことがひとつあります。人間の体はただ鍛えるだけではダメ、自分はこうなりたいとかこうしたいとかいった意識が大切なんだとね。」
 これって結構他のいろんな事についても言えるんじゃないかな。本を読むにしてもただガムシャラに乱読するのではなく、自分は何について知っているどんな人になりたいかを先にイメージして読む本を選べば、同じ数の本を読んでも身につくものの量と質は全然違うような気がする。若い時に本屋や図書館に行くと、一生かかっても読みたいと思う本を全部読み切れる事なんてありえない、どこから手をつけていいかわからない、と気が遠くなるような気がしたが、それって「こうなりたい、こうしたい」のイメージが具体的じゃなかった証拠かも知れない。

1月4日(金) The Man Who wasn't there
 コーエン兄弟の新作、The Man Who wasn't thereを見に行く。
 レビューを読んで想像していたのとは全然違う映画だった。コーエン兄弟だし、コメディだろうと思ってたら、あまりに平凡すぎるところが非凡な散髪屋が、らしくない事をしたばっかりに自分が想像もしていなかった方向に物事がどんどん展開していく、というような話だった。その過程で主人公は裏切られたりだまされたり、何人もの人が死んだりするので、何とも救いがないストーリーだ。
 ちょっと露出オーバー気味の白黒のノスタルジックな映像が美しく、ほとんど笑わないビリー・ボブ・ソーントンの濃い顔のしわが何ともいい味を出していた。ふだん化粧っ気がない役が多いFrances McDormandが女っぽい魅力的な妻役を演じていて、しかもそれらしく見えるのにはびっくり。わかっていたけど、彼女いい役者なんだよなぁ。
 見た直後は「いったいどういう映画だったんだろう?」と何だか釈然としなかったが、時間が経つとスチール写真なみに美しいモノクロの映像の断片とベートーベンのピアノソナタ8番のメロディーを思い出す度にある種の「気分」が胸のあたりに湧き上がってくる。これってやっぱりコ-エン兄弟の思惑に見事にはまった、って事なんだろうな。

1月1日(火) 新年会
 自宅にて新年会をするのは今年で4年目になる。
 4年前に気まぐれで「おせちのようなもの」を作り、親しい友人を招いて4人でささやかにお正月を祝って以来、お正月が近づくとなぜかムズムズする体質になってしまった。
 12月も中旬までは「めんどくさいなぁ。今年はやめておこうかなぁ、」と億劫なのだが、いざ直前になると、どうもおせちなしでは物足りない。せっかく作るのだからみんなにも食べてもらおうと結局年末に電話をかけまくる事になる。日本にいればテレビや歳末商戦などで、イヤというほどお正月気分を味わう事になるのだろうが、こちらではみんな大晦日に何をするかの方が関心事で、お正月は飲み過ぎ騒ぎ過ぎの前の晩の疲れを取るためにひたすら寝てるだけだから、よけいに自分でお正月気分をかきたてる必要があるのかも知れない。
 去年8人の人を呼んでちょっと自信がついたので、今年は前々から計画をたて、お世話になっている方々に声をかけた結果、最大20人くらいになる可能性が出てきた。最終的には来れなかった人もいて14人だったのだが、正月早々料理が足りないのも景気が悪いので、量だけは相当作った。普通のおせちのレシピって4人分x2回分とかだから、そのまた2倍ぐらいを作る事になる。ひゃーっ。同じ料理でも10何人分となると、まるで仕出し屋か相撲部屋の厨房のような量の多さだ。私のキッチンの30センチ四方くらいのカウンタートップではちょっと無理があったかな。
 参加者の中には手作りの豆腐やスキヤキ鍋と材料持参で来てくれた頼もしい人達もいて、おせちを一通り食べたら、次は焼肉、焼肉に飽きたら割り下を足してすき焼き、とボリュームとバラエティに富んだ楽しい一夜になった。結局大きな寸同鍋いっぱいに作ったお雑煮は誰も食べられないほど食べ物は豊富で、料理が足りなかったら、という心配は無駄に終わった。さあ、これから大量にあまったお餅をどうやって食べようか?
 この日、私は普段からは考えられないぐらいたくさんお酒を飲んでいたそうです。
 
   

【top】 【home】