J U L Y, 2001

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7月30日(月)
 今年の夏は意識してアウトドアダイニングがあるレストランを制覇する事にした。今日行ったのはイーストヴィレッジにあるトスカーナ地方のイタリアン、I Coppi。
 入り口はごく普通だが、奥のガーデンに入った時のインパクトはなかなか。テーブルやレンガの塀の茶色と所どころに配してある緑のコンビネーションが良くて落ち着ける雰囲気。照明はテーブルの上のキャンドルライトだけで、女性は美しく見える事間違いなし。ロマンチックとも言えるが、カジュアルで「いかにも」という感じではないので、逆にそれがデートの時など良いかも知れない。パスタは生麺ぽくて、今までにニューヨークで食べた中で5本の指に入るおいしさだった。店内やトイレもトスカーナ風の素朴なインテリアでまとめてあり、レンガ造りのオーブンや地下にワインセラーもある。本格的だが気取ってない。料理もおいしく値段もまあまあ、と「使える」レストランだ。
I Coppi
432 E.9th St. (bet. Ave. A & 1st Ave.) Tel:212-254-2263
 
7月29日(日)
 マサミちゃんがバスタブのコーティングのために週末ニュージャージーのアパートにいられない、という事で泊まりに来る。
 一緒に食べる人がいるので張り切って「日本の夏メニュー」の夕食を作る。献立は焼き茄子、ソーメン、精進揚げ。この前から食べたいと思っていた献立なのだが、いくら食いしん坊の私でも、ソーメンはともかく自分一人のために揚げ物をする気にはなかなかならない。天ぷらの中身は茄子とカボチャ、レンコンのはさみ揚げとしいたけの海老すり身詰め。日本の夏の味を堪能した。どうせなら麦茶もわかしてデザートにスイカを買っておけば完璧だったなあ。

7月28日(土)
 ユニオンスクエアのグリーンマーケットでバジル、セージ、ローズマリー、オレガノの苗を買ってきて大鉢に寄せ植えする。小さいながらもハーブガーデンだ。
 去年の誕生日前、3月に誕生日がある女友達3人で自分達の誕生祝いに普段行かないような高級レストランに行きましょうよ、という話になった。前から行ってみたかったエスティアトリオ・ミロスという高級ギリシャレストランに行ったのだが、ここでパンと一緒に出てきたオリーブオイルに、ウエイトレスが生のハーブをハサミでパチンパチンと切って入れたのにはハッとさせられた。たったそれだけの事なのに、ただでさえ濃いエクストラヴァージンオイルの緑がより濃く、より芳醇な匂いを放っているように感じられて、ほんの一握りの香草による演出にいたく感動し、アペタイザーも食べないうちから私はこのレストランのファンになってしまったのである。
 つまりこういう事を自宅でもしたいがためのハーブガーデン。丸い大鉢のハーブガーデンに白い花を挿し、ディナーテーブルのセンターピースにする。ゲストに食事をサーブする時に鉢から直接ハーブを取ってハサミでちょきちょき切って料理に振りかける‥何て素敵!こういう事が照れず構えずごく自然にできれば、私の中のマーサ・スチュワート度もたいしたものだが、まだ照れがあるな、実行しようとすると。マーサ・スチュワートへの道はまだまだ遠い。
Estiatorio Milos
125 W.55th St. (bet. 6th Ave. & 7th Ave.) Tel:212-245-7400

7月20日(金)
 暑いので酸っぱ辛いものが食べたくなって、近所のチャイニーズからHot & Sour Soupをテイクアウトする。
 ところが何と辛くて最後まで食べられなかった。もちろん以前はここのスープを辛いなんて思った事なかったから、短期間でこんなにも味覚が変わるものかとビックリ。もしかしたら辛味に対する私の感覚は長年にわたってかなり麻痺していたかも。最近読んだある日本人アーティストのインタビューで、彼はガーリックや唐辛子は本能を鈍らせるので食べないようにしている、と言っていた。それがホントならガーリックも唐辛子も食べまくっていた私の本能は長年鈍りまくっていた事になる。いまだに種の保存に貢献していないのはそのせいか?その割には食べたり眠ったりと個体の生存に関する本能はちゃんと働いているようだが(笑)。

7月14日(土)
 友達に頼まれて日本版GQのマイルス・デイビス特集に載った彼女のインタビューを翻訳している。
 知り合ってから何年も経つのに彼女が晩年のマイルス・デイビスのガールフレンドだったとは‥。愕然。彼女いわく「マイルスのガールフレンドは数え切れないぐらいいたから、そんなの私の名前はジョン・スミスです、って言っているようなもの」だそうだが、他の誰のガールフレンドだったと言われたらもっとインパクトがあるだろうかと考えてみると、マイルスに匹敵する人はそういない。
 アメリカには「Six degrees of separation」という言葉がある。どんなに縁がなさそうに思える人も6人ぐらい人を介せば、たいてい何らかのつながりがあるものだ。」という意味で、よくよく考えてみたら意外なぐらいそうなのだ。例えば私がハリソン・フォードに何らかの理由で連絡を取りたいとする。一見全く不可能のように思えるが、知り合いに聞いてまわってみるとある映画監督を知っている人に行き当たり、その人からハリウッド関係に詳しいライターを紹介してもらい、更にハリソン・フォードが出演している映画の広報の人の番号を教えてもらい、その人にファックスを送って‥という風に、目的を達成できるかどうかはともかくとして、連絡をつける事はありとあらゆるコネクションを使えば、到底無理だと思える人でもたいていどこかでつながっているものだ。
 マイルスに関して言えば、他にもマイルスを直接知っているミュージシャンを何人か知っているし、たった1Degreeだったんだなあ、と改めて思う。輪廻転生的な考え方で言えば、この世で会う人は何らかのスピリチュアルなつながりがあって会うべくして会っているわけだから、もしマイルスが死ぬ前の12年ぐらい前にニューヨークに住んでいたら、今私が知っている人達を通してマイルスにも会えていたかも?しかし、12年前には今こうしてニューヨークに住んでいる事さえも予測していなかったワケだから、どこにも文句の言い様がない。

7月13日(金)
 田中さんとイーストヴィレッジのクープでディナーを食べる。
 今年の夏はなぜかガーデンがあるレストランが気になる。あまり暑すぎない気候のせいかも知れないが、仕事が終わった頃の夕暮れ時には外でご飯が食べられるお店に行って、お酒が飲めない私でもカクテルの一杯ぐらい飲みたい気分。
 今日もこのお店を選んだのは、地下と一階のバイレベルのアウトドアダイニングがあるから。東京にでもありそうなミニマリスティックなインテリアのこのお店は、以前来た時に気取ったインテリアのわりに料理もちゃんとおいしかったのに感激したのだが、今回は料理は今ひとつだった。前回来た時にメニューに入っていたシェフの名前が消えていたので、多分シェフが変わったのだろう。まずくはないが特に何ていう事ない味だった。
 実は最近シティサーチでレストラン情報を調べた時に同じような評価だったのがちょっと気になったのだが、今年のザガットの評はまずまずで前回来た時の印象に近かったので決めたのだった。レストラン業界は人の入れ替わりが常で、オーナーでもなければシェフが変わる事など珍しくない。ザガットの評価は信頼されているが出版は年に一度だから、最新の情報を手に入れるにはインターネットのメディアの方が断然分がいいようだ。シティサーチの読者投稿のレビューは一般人が言いたい放題言っていて結構参考になる。
Coup
509 E.6th St. (bet. Ave. A & B.) Tel:212-979-2815

7月2日(月)
 日本からの客人と夕食を共にする。
 レストラン業界で働いてる彼はインターネットや雑誌でニューヨークのレストラン事情を調べ尽くしているので、普段は彼が予約を入れたレストランに私がついていって、「へ~、こんなお洒落なレストランがあったんだ~?」と感心するばかり。珍しく今日は考えていない、と言うので私がレストランを選ぶ事になる。変な所には連れて行きたくないけど、普段行かないような所に連れて行ってハズすのも嫌だし‥。レストラン選びでこんなに頭を悩ましたのは久しぶりだ。
 結局ブルーノートのすぐ近くにあるブルーヒルというレストランを予約する。割と最近できたレストランで、食事、雰囲気、サービスの全てにおいてバランスよく評価が高く、90年代半ばにニューヨークのトップレストランとして知られていたブーレーで働いていたシェフがやっているという事なので期待が高まる。
 入り口は知らなければ見過ごしてしまいそうなぐらい目立たない。控え目な印象でマル。奥にガーデンがあるというのでそこに通してもらう。真っ白なテーブルクロスがかかっていて清潔な印象。前菜の白身魚のマリネは清涼感あふれる夏らしい一品で、まさに食欲を増進するアペタイザー本来の役割にぴったりだった。メインに頼んだHalibut(おひょう)はちょっと選択を誤ったかな、という感じ。スパイスが効いた木の実のソースがクセが強くてちょっと私の口には合わなかった。デザートのチョコレートブレッドプディング、バニラアイスクリーム添えは絶品。これだけでもまた食べに行きたいぐらいの忘れがたい味だ。
 この後ブライアントパークで夏の間毎週月曜日に行われている野外の無料映画上映会を見に行く。今日はの映画は大好きな「真夏の夜のジャズ」なのだ。5時ぐらいに行かないと場所がとれないと言われていたが、アシスタントのジェイソンと友達が場所を取ってくれていた。ラッキー。
 映画の後はブルーノートの2nd公演を見に行く。マーシオ・ファラコというブラジルのアーティスト。パリ在住で最近ヴァーブからCDが出たばかり。まだあまり知られていないがいいアーティストだ。ボサノバっぽいのだが、本人いわくボサノバは雰囲気だけであくまで自分の音楽はサンバだと言う。メローな彼の音楽は本国ブラジルでは古くさいと受け止められるらしく、「だからパリで活動している」そうだ。何だか以前のジャズと同じ状況ではないか。そう言えばベベウ・ジルベルトの人気に火がついたのもフランスだし、フランスという国には、古い新しいにこだわらず芸術を評価する土壌があるのかも知れない。私個人としては、新しい事に挑戦するアーティストはそれが真に新しい試みであれば評価されるべきだと思うが、「新しい」=「素晴らしい」とは限らない。あくまでも「新しさ」について評価されるべきでそれが「素晴らしい」かどうかはまた別の次元の事だ。現実にはこの二つが一緒くたに評価されている事が多いような気がする。「古い」=「伝統的」「クラシック」という事についても言える事だが。
Blue Hill
75 Washington Pl. (bet. 6th Ave. & Washington Square West.) Tel:212-539-1776
Blue Note
131 W.3rd St. (bet.6th Ave. & McDougal St.) Tel:212-475-8592

7月1日(日)
 BB Kingにワイルドマグノリアスを見に行く。ニューオリンズの謝肉祭、マルディグラの時の派手な衣装がトレードマークのとにかくフェスティブで楽しいバンド。もうすぐブルーノート東京での公演があるので、 グループのマネージャーとは最近しょっちゅう連絡を取り合っている。最後の曲の時にバンドの友人らしい人達と一緒に私とアシスタントのジェイソンもステージ上に呼び出されたので、呼ばれるままにステージの上でバンドと一緒に踊ってしまった!
まさか今日BB Kingのステージにデビューするとは思わなかった。
B.B. King Blues Club & Grill
243 W. 42nd St. (bet. 7th & 8th Ave.) Tel:212-997-4144

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