| GO BACK TO HOME PAGE |
12月31日(月) おばさんとおねーさんの分かれ目
お正月の食材を買いにニュージャージーのミツワに行く。
女子トイレに行くと長---い列ができている。(男の人が一番うらやましいのはこういう時だ。)3つある個室の回転は遅く、特に一つの個室からは人が出てくる気配がない。私の前にいた小さな女の子を連れた日本人の若い母親がそのまた前にいるヒスパニックの女の子に、「ねえ、そのトイレ誰も入ってないんじゃない?」と聞いている。ヒスパニックの子は「誰か入ってるわよ。」とそっけなく答えるが、おねーさんは納得がいかない様子で、その個室まで行ってドアを押したり引いたりしていたが、あきらめて列に戻ってきた。
その二人とも個室に入り、私が列の一番前になる。相変わらず問題のトイレからは誰も出てこない。次は私の番なんだから遠慮する事もないか、と私もそのトイレまで行ってみる。
ノックしてみるが、応答なし。下からのぞいて誰かの足があるか見てみる。何もなさそうだ。しかしドアのすき間から何か黒いものが見える。やっぱり誰かいて、その人の洋服だろうか、といぶかっていると、列の後ろの方にいたおばさんがツカツカツカとやってきて、がばっと体を半分に折り曲げて、トイレの下から大胆にのぞきこむ。彼女が指でマルを作って「オッケー!」と元気よく言いながらドンッとトイレのドアを押すと、見事に中には誰もいなかった。黒く見えたのはゴミ箱にかぶせてあるビニール袋だったのだ。
こういう状況での行動がおねーさんとおばさんを分けるとすると、私はまだまだその中間に属するな。しかしこの場合のおばさんは微笑ましく、思わず笑ってしまった。
12月29日(土) 今年最後の週末
五番街に買い物に行く。
なんてわざわざ書く必要があるのは、一年に一度か二度あるかないかの珍しい事だからだ。いまだにデパートの化粧品売り場のおねーさんとブティックの売り子のおねーさんがこわい私は、誰かの誕生日プレゼントを買うとかの特別な理由がない限り、買い物をする事を目的に出かける事なんてまずしない。たいてい散歩や通勤の途中にたまたま見かけて気に入ったものを買う80%以上衝動買いの人だからだ。しかも行動範囲はほとんどダウンタウンだから五番街なんて縁がないのだ。しかし、今年のニューヨークは9月11日以降消費が落ち込んでいて、クリスマス後のバーゲンの割引率が高いらしい。少なくともニュースではそう報道して消費を促している。今年は買い物するだけでニューヨークの復興の助けになるという格好の口実があるのだから、ふだんは足を踏み入れられないような五番街のお店で一つ買い物してやろうじゃないの、と考えたわけ。
ちょっとお洒落をして一人でぶらぶらしただけなのだが思いのほか楽しい一日を過ごした。まずCrate and Burrellで以前から欲しかったベトナム製の真っ赤な竹の大皿を50%オフで購入。形といい色といいお正月にぴったり。$17.50ドルなり。次にバーニーズでチャイケン&カポーンの黒のベーシックなコットンパンツを購入。$199ドルが$55ドルに下がっていた。ブルックスブラザーズでは季節はずれのピンクのマドラスチェックの麻のスカートとそれにあわせてピンクの薄手のカーディガンを購入。二つ合わせて$80ドルくらいだったか。歩き回った割には結局ニューヨークの助けになるほどお金を使う事もなかった。しかし、買い物をするつもりがない時に欲しいものが見つかると、買うべきか買わざるべきかジレンマも大きいが、買う気満々で行くと買うも買わざるも自分次第、と変な余裕が出る事を発見。
そろそろ帰ろう、と駅に向かう途中バーグドルフ・グッドマンの前を通りかかったら、ウィンドウディスプレイの素晴らしさに思わず目を奪われる。ビルの横のディスプレイも見たくて角を曲がるとすぐそこにあるパリスシアターで前から見たかったフランス映画「Amelie」をやっていた。しかもあと五分で始まると言う。なんだか誘われているような気がしてそのまま見る。久しぶりにもう一度見たいと思うぐらい楽しめる映画だった。終日一人で買い物をして、気まぐれに映画館に入る、って何だかしばらくしていなかった一日の過ごし方をしたような気がした。たまにはこういう休日もいい。
12月28日(金) BBキングのバーにて
明日からお正月に向けて四連休。日本風に言えば今日は仕事納め、というわけか。普段の金曜日は残業も多いため、疲れてひたすら家に帰りたい気分の事が多いが、さすがに今日は「パーッと」いきたい気分。
友達とウェストビレッジのカフェアシアンでご飯を食べて、BBキングに行く。来年日本のブルーノートに行くマイク・クラークのバンドが出演しているのでどんな演奏か見ておきたかったのだ。前座はグルーブコレクティブ。若い層に人気のあるグループで、マイク・クラークの方はポール・ジャクソンとフレッド・ウェズリーが入ったオールドファンに嬉しいラインアップだから、両方にメリットがあるいいカップリングだと思った。予想以上の込み方でほぼ満席。立ち見も出ていた。マイク・クラークの公演自体はファンキーでグルーヴィー。特にポール・ジャクソンのエレクトリックベースとブルージーなボーカルがいい味出してて、はっきり言ってマイク・クラーク以上に存在感があった。
ところでバーでちょっと気にかかる事があった。頼まれてゲストリストに載せたレコード会社の人とミュージシャンに店内で偶然会い、なんとなく一緒にライブを見ていた。のどが乾いたので、自分の分だけ飲み物を買いに行くのも失礼と思い、「私飲み物を買いに行くけど、何かいる?」と声をかけると、二人ともちょっととまどったように顔を見合わせて「え~、女性からビールをおごってもらったりしていいのかなあ」なんて言いつつ好みのブランドを伝えたので、私が二人分のビールを買って渡した。
「何か飲む?」とこちらから聞いたのだから別にいいのだが、何となく釈然としないものを感じた。で、気づいたのは私はこういう展開を予想してなかったのだ。ではどういう展開を予想していたかと言うと、1.彼らも一緒にバーに行って自分の分は自分で注文し、自分で支払う。2.「そんな~、ゲストにしてもらった上に女性からおごってもらったりできないよ」と言って、私の分も彼らが注文する、とそんな所か。よく考えてみると男性が私に飲み物をおごったお礼としてではなく、私から先に男性に飲み物をおごった事というのは、相手が学生やかなり年下だったり、初めから何かのお礼をするつもりだった時をのぞいてはほとんどなかったような気がする。(ちなみにこの二人の男性は40代半ばぐらいに見える。)もちろん割り勘にする場合も多いのだが、そうでなければ今まで男性からおごられる方が私にとっては「当たり前」であったという事か、と考えるとちょっと恥ずかしいと共に意外でもあった。自分は、日本にいた時から「可愛げがある」「女らしい」若い女性とくらべて、女性であるというだけでメリットを受けた事が少ないかのように感じていたが、実は人並みに享受していてしかも気づいてもいなかったのかも知れない。男性は相手が女性であろうと男性であろうと相手の分まで払おうとする事が多い。私が自分の分を自分で払うだけで男女平等を実践しているような気になっていたとしたらそれは勘違いのような気がする。彼らが私からビールを受け取ったという事は平等に扱われたと喜ぶべきか、それとも歳を重ねると共に女性として特別扱いされなくなったという事なのか、それとも単にここはアメリカだからなのか?考えてみると「誰がビールを買うか」という事に年齢や性別、お礼の意味の有無を問う事自体、私が日本的なものの考え方にとらわれているという事かも知れない。飲みたい人、買いたい人、買えるお金を持っている人が買えばいいだけの事なのだろうか。それだけとはやはり思えないけれど。
12月25日(火) クリスマスディナー
クリスマスに鶏の丸焼きに挑戦。実はサンクスギビングに挑戦したら見事に失敗。見た目はおいしそ~だったのだが、お肉がガチガチで食べられたものじゃなかった。あれから1ヶ月。料理が得意な友達に聞いたり、複数のレシピを集めて研究した結果、焼く時に蓋をしなかった事とベースト(鶏から出た肉汁を巨大なスポイトのようなもので吸い取って焼く途中に鶏にかける事)をしなかったために鶏肉が乾燥して硬くなってしまったに違いないという結論に達する。今日にそなえてソーホーのブロードウェイパンハンドラ-で蓋つきのロースターを$94.95ドル、ベースター(巨大スポイト)を$1.95ドル、肉が焼けたかを確かめるための温度計を$7.95で購入。
他のメニューはカボチャのスープ、ブルーチーズと洋梨のサラダ、ブロッコリーのオイスターソース炒め、プチトマトのオーブン焼き、鶏と一緒にローストしたマッシュルームとポテト。あくまで鶏に集中するために、付けあわせは作り慣れてて失敗がないものだけを選ぶ。前回と違って万全の態勢を整えてのぞむからにはもう失敗は許されない(チョイ大げさかな)。
ロースターの中には水を入れる、とレシピにあるが、代わりにワインを投入。それもクッキングワインではなく、安いけどそのまま飲んでもおいしいワインにする。鶏肉の中にはスタッフィングという詰め物をするのが普通だけど、あまりおいしいと思った事がないので、キノコとパセリのバターライスを作ってそれを詰める。30分くらい蓋をして蒸し焼きにした所でひっくり返して25分。再びひっくり返して蓋を取ってから焼く事20分。途中何度かベースティングしたりお肉の温度をはかる事をくり返す。
計1時間半のロースティングの結果は…大成功でした。思ったより塩味やハーブの風味は控えめで、もう少し強くしてもよかったような気もするし、以前ジョンの所でご馳走になった鶏はもっと柔らかくてジューシーだったような気もするけど。まあ前回の敗者復活戦、という事で贅沢は言うまい。
デザートは近所のパン屋で買ったプリンとハーゲンダッツの「クリームキャラメルピーカン」アイスクリーム。これは新フレーバーらしく、プリンに合いそうだ、と思って買ってみたのだけれど、異常に甘くて、アイスクリームだったら何でも大好きの私でもちょっと…という感じだった。
英語でEat, Drink, be Merry!という言葉があるけど、まさに食べて飲んでよけいな事は考えない、と言うMerry Christmasを地でいくディナーでした。ついでに言うとFat, Damn and Happyという言葉もあるので、そうならないように気をつけなきゃ(笑)。
| TOP | HOME |